老健にいる母が、このところ感情的に怒ったり泣いたり怒鳴ったりする、と
スタッフさんから報告があった。
少し前から、夜間特に感情の揺れが激しく、
着替えられなくて泣き出す…ということがあったため、
「夜のおくすり」なるものを処方されていたが、
その「夜のおくすり」ってなんなのか、私は知らなかった。
今回施設からは、夜間だけでなく、昼間もその「おくすり」を処方しますが、いいですか?
という電話があったのだ。
いいですか…? って。
はあ、まあ、お任せします、と私は答えたのだが…
一応、薬の名前は教えてくれた。
『グラマリール』というらしい。
使うのにいちいち家族に断らなきゃならない、っていうことにちょっと不安を覚えたので、
ネットで調べてみた。
……んー、パーキンソンを併発するとか、ちょっとヤメテ、な副作用もあるけど…
即時拒否しなきゃならないような危険な薬でもないらしい…。
というか、正直、わからない。
医師によって意見がマチマチなのだ。
製薬会社のページには「良いことしか」書いてないし。
介護士からみた意見、医師から見た意見、家族から見た意見…
なんか、どうも、バラバラだ。
ご家族が極端に心配してグラマリールをやめさせた、というケースもある。
痴呆が進む、パーキンソンの症状が出た、というのだ。
ん〜〜〜〜…。
確かに、泣いたり怒ったりという「感情の昂り」を抑える薬なので、
ボケ〜っとする、つまり大人しくなる…らしい。
つまり、あれを投与するメリットは、本人のため…というより、
介護する側のため、じゃないのか、と何となく分かる。
認知症が進むのは困るが、泣かれても困る……
どっちを選ぶか、ということだったのらしい。
なるほど、介護する側からしたら、大人しくしてくれてた方が介護が楽だ。
医師も、「自分の親だったら使うかどうか?」と聞かれたら、違うことを言うのかもしれない。
その手の薬、みたいだった。
さて……
私はどうしたらいいんだろう。
妹に電話した。
妹は、母が嫌いなので「いいんじゃない?面倒見てくれてるとこがやりやすいようにした方が」と。
けど、老健の一部では、認知症が進むと受け入れてくれない所もある。
一概に介護スタッフのメリットだけを追求しても、あとあと自分が大変になる。
妹は、施設選びも移動の世話も一度しかやってないから、そんなにあっさりしたことが言えるのだ…
人間らしい気持ちも少しは残っているから、私はちょっといやだなと、…思った。
出来れば、リスクを負わせないような薬の処方を、と言いたいのだが…
まあ、今日日どの薬を選んでも、上に書いたように立場の違う人から見たら
どれも似たようなものなんだろう。
これが、本当に大好きな、大事な相手の身の上に起きたことだったとしたら。
すぐにでも電話して、グラマリールはちょっと、と施設に申し入れているのだろうか。
人として、とか。
娘として、とか。
親孝行、という文字とか。
仕方ない、という気持ちとか……
このまま行くと、「あたしって、冷たいヤツだったのね」みたいな結末になりそうで
非常にイヤなのだが、やはりだからといって?思い浮かぶのは「仕方がないじゃん」という一言で。
……いっそ、私に処方して欲しいと思う……
グラマリール(笑)。
※注
施設で処方される薬に関しては、その投与期間や分量は施設の専任医師が診断の結果決めている。
なので、「飲ませますが」という断りが来る程度なのだ。
それに対して、ネットで副作用を調べたからやめて、という判断を下せるほど
私は専門家ではない。
これが自宅で、処方される薬を私が飲ませる…というのなら、経過観察してその薬が母に合うのかどうか、選ぶことも出来るのだが…そうはいかない。
これは、プラスもマイナスもあって、
施設の介護者に取っては大人しい入所者であれば扱いやすいが、
家族にとっては「お母さん様子がなんか変」ということになるかも知れない、と言うことでもある。
ただ、私は母の世話を直に見ている訳ではない…
異変があっても、気がつけるほどしょっちゅう会いに行ってるわけじゃないのだ。
施設だって同じだ。
一人の入所者を、一人の介護者が専門的に見ているわけではない。
異変があっても、母は結局、誰にも気がついてもらえない可能性がある。
そこが問題なのである……
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