先日の、毒吐き記事は、さる方の勧めもありまして削除しちゃいました…
まあ、困るよねえ、あんなの読まされたってさ(笑)。
失礼しました〜〜。
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さて。
実は、100%オリジナルなのですが、事情があって絵本のためのお話を書いていました。
書きかけだったんですが、載せようと思います。
あ、っと、これ、以前にも同じようなこと呟いたことがあるんですが…
ERIが、前触れもなくストーリーを書くと、なぜかそれが現実になることがある。
何かのシグナルを受け取って、無意識に書いている…のだとしか思えないんだけど、
自分ではまったく何も考えてない……
なんだか、それを薄々感じ取るようになってからは、
思い浮かんだことが「悪い出来事」だった場合は絶対に文章にはしません。
でも、……今回はそうは思わなかったので、書いていたんですよねえ。
以下が、そのお話です……
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『フミさんとアキちゃん』
フミさんは、アキちゃんとミサちゃんのおばあちゃん。
アキちゃんは5つ。
ミサちゃんはやっと2つになったばかり。
働いているママの代わりに、フミさんが2人のご飯を作ります。
一緒にお買い物に行って、好きなおやつを買って帰ります。
働いているパパの代わりに、一緒にお風呂に入ります。
一緒に公園に行って、ブランコを押してあげたり砂場で遊んだりします。
アキちゃんは、それは元気で、おばあちゃんのフミさんは時々ついて行けなくなってしまうこともあります……
でも、そんなときフミさんはいつも、言うのでした。
「あれあれ、大したこと…。でも、元気がなにより一番よ」
その日、フミさんはお友達とデパートへ出かけました。
帰り際。
色とりどりのぬいぐるみが並ぶ、おもちゃ屋さんの店先に、ピンクのクマと黄色いクマが、ちょこんと座っているのを見て。
「あら…まるでアキちゃんとミサちゃんみたい」
黄色や青が似合う元気なアキちゃん、ピンク色が似合う、色の白いミサちゃん。
そこでフミさんは、黄色いクマを元気なアキちゃんに、ピンクのクマを大人しいミサちゃんにと、それぞれ包んでもらって家に連れて帰りました。
「おばあちゃん、なに買って来たの?」
幼稚園のバスから飛び降りて来たアキちゃんは、フミさんの手に抱えられた包みを見て、顔をぱっと光らせました。
「クマちゃん、アキちゃんのもあるよ」
ピンクのクマを抱っこしたミサちゃんが顔を出しました。
「わあ!!可愛い!!」
「さあさあ、手を洗っていらっしゃい。おやつはお芋だよ。シュークリームもあるからね…」
幼稚園の制服とカバンを部屋に放り投げると、アキちゃんはおやつも食べずに包みを開けました。
「クマちゃん、クマちゃん、アキのクマちゃん…♪」
そう、アキちゃんは、リカちゃんよりも動物のぬいぐるみが好きなんです。
フミさんは、アキちゃんの喜ぶ様子にすっかり嬉しくなりました。
ミサちゃんが持っているのとは色が違うけれど、2匹のクマちゃんたちはとっても可愛い顔をしているんですから。
そう、まるで…アキちゃんとミサちゃんみたいにね。
「あれ…」
歌うようなアキちゃんの声が、急に止まりました。
アキちゃんは、振り返っておやつのお芋を食べているミサちゃんを見ました。
ミサちゃんの椅子には、ピンクのクマが座っています。
「……こんなの、いらない」
「えっ?」
アキちゃんのお芋をお皿に乗せていたフミさんは、びっくりして聞き返しました。
「こんなの、いらない!!」
「アキちゃん」
口をへの字に曲げたと思うと、アキちゃんは黄色いクマの耳を掴んで、投げつけました。
クマは勢い良く転がっていって、ミサちゃんの足がぶらぶらしているテーブルの下に飛び込み、フミさんの履いていたスリッパにこつんとぶつかりました。
「アキちゃん…」
おもちゃ屋さんの店先に誇らしげに座っていた黄色いクマは、放り投げられて惨めな様子。
(あっ……)
アキちゃんは、黒いボタンの目が悲しそうにこっちを見返しているのに気がつきました。
ああ、わるいこと、しちゃった。
アキちゃんがそう思ったとたん、黄色いクマをフミさんが拾い上げました。
「そうかい、これは、嫌いなの」
「……おばあちゃん」
悲しげなクマちゃんの、黒いボタンの目は、フミさんの目に瓜二つ。
だって、ピンクが欲しかったんだもん。
ピンクのクマちゃんが良かったんだもん。
お洋服も、ほんとはアキ、ピンクがいいの。だけど、ママが……
アキちゃんは、心の中でそう呟きながら、黙って下を向いていました。
唇はへの字に曲げていました。
怒られる、と思ったのに、おばあちゃんは怒りません。
拾い上げた黄色いクマについた埃をさっさっと手で払って、フミさんは言いました。
「………ピンクが良かったんだね?……ごめんねえ。おばあちゃん、気がついてやれなくて」 「…………」
への字に曲がった唇は、言うことをききません。
アキちゃんはそのまま、ぷい、とフミさんに背中を向けました。
ごめんなさい、も、ありがとう、も言えない自分がとても嫌だったのと、なによりも。
悲しそうなクマの目が、おばあちゃんの目にそっくりだったからです……
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書いてあったのは、ここまで。
書き上げてはいません。
実は、フミさん、というのは私の父方の祖母です。
アキちゃん、が私。
ミサちゃんが、妹で、この出来事は本当にあったことです。
このことがあってから、私は 「誰かに頂いたものが、例え自分の気に入らなかったりもう持っている物だったりしても、感謝の気持ちは絶対に忘れまい」と思うようになったんですよねえ。
5歳の時でした。
フミさんは、怒らず、苛つかず、いつも優しいおばあちゃんでした。
父と母が離婚してから、もうかれこれ20年以上会っていなかったんですが、
もう98にもなるし、認知症にもなっていて、そろそろ会いに行かないと二度と会えないかも知れない……と思いながら、その機を逸し続けていて。
秋頃、叔母から「もう随分弱ってしまって、ついに病院に入ったよ」と知らされていて……
それでも忙しくて、つい、来月来月、と先延ばしにしていたんです。
先月ようやっと、 12月に入ったら会いに行こう、…と
末っ子のキョースケ艦長と約束したところでした。
彼に取っては、ひいおばあちゃんですからね。
でも…… 今朝、叔母から電話があって。
「亡くなったよ」と。
………間にあわなかったなあ。
なぜ、私はこのお話を唐突に書き始めたんでしょうか。
おばあちゃんからの、伝言だったんでしょうか………?
私は、優しい子じゃなかったね。
ずっと会いにも行かなくて、ごめんなさい……
このお話は、どうやって完成させようか悩みながら、そのままにしていました。
今も、どうしたら書き上げられるのかよく解らないけど…
おばあちゃんが、最後にもうひとつ何かを教えてあげようと、
私のために何か残そうと、
…そう思ってくれたのかなあ、なんてことも、思うのです……
[8回]
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