ハーロックのあとに、風立ちぬを観に行ったんですが、
まあまあ面白かったです。
………まあまあ面白かった、で済まそうというわけじゃないんだけど(^^;)
物語は、関東大震災から始まって、零戦で終わる。
宮崎駿氏は反戦主義、だと言いますが(だから、「永遠のゼロ」については批判しているらしいw)飛行機や兵器そのものについての造詣はとても深い方です。
そう考えると、反戦…とは言いつつも、戦争を起こすためのファクター(飛行機とか)を溺愛するという点で完全には反戦を唱えられない人なのじゃあないかな、なんて私は思ってしまうのですが(^^;)まあそれは屁理屈ですねい。笑。
設計バカ、飛行機バカ、の堀越二郎さん。
その人の描写も面白いんですが、私は軽井沢のホテルに滞在していた時のエピソードが好きですね。
戦前の日本の富裕層は、ああいうまるで欧州の避暑地のような西洋風の過ごし方をしていたみたいです。
実は私はああ言うのが大好きで(笑)
足しげく通った海外の地というとイギリス(のド田舎w)なのですが、
中流程度のホテルでもお茶の時間とディナーの時間に正装して社交する、そのための暖炉付きの社交ルームがある、揺り椅子が置いてある…なんていうのがとっても好きでした。
見ず知らずの男性が、外国人の未成年みたいに見える私に対してもちゃんとレディをもてなすような仕方で接してくれるのも嬉しかったし(w)。
そういうのって、今の日本の避暑地では高いホテルに行ったって体験出来ませんよね。
その避暑地で始まった恋とか、もうホント(笑)有り得ない。現代では外国行かないとムリ。
あと、この映画は、主人公の喫煙シーンで叩かれてるみたいですが…
学生のもらいタバコ、恩賜のタバコ、重症の肺結核の恋人の枕元での喫煙。
まあ、確かに言われてみれば喫煙シーンは多いんですが、
気になったのは恋人の枕元での喫煙シーンくらいでした。
……まあ、当時はチェーンスモーカーはどんな病気にかかりやすい、とか、知られてなかった時代でもあるのだし。
ただ、結核の彼女がいかに「手を握っていて」とせがんだとしても、
呼吸器系の病気で重症の人のそばで吸うのはなあ、と。
そんくらい我慢せんかい、って堀越二郎に突っ込みそうにはなった(笑)。
美しい飛行機を美しく速く飛ばすこと、が堀越二郎の夢だったのですが、
その夢の実現は多くの犠牲を生みました。
零戦の速度、あれを出すために、装甲を軽くしたこと。
パイロットの背中の防弾装甲が無いに等しかったという事実。
宮崎駿氏は百田尚樹氏の「永遠の0」を批判しているらしいのですが、
堀越二郎が軽量化にこだわり、美しく速く飛ばそうとしたがためにパイロットの命は軽くなった、その悲劇を描いているのは最近では「永遠の0」。
もちろん、その他の史実を元にした手記なんかも、合わせて読めばもっと別の角度からの発見も多々あるんでしょうが…。
劇中、堀越二郎が目標にしているイタリアの設計家が何度も彼の夢に出てきます。
設計者はパイロットじゃないんだから、あなたが自分で飛ばすことを考えなくてもいいんだ、って何度か言ってますよね。
でも、飛ばす人と、作る人とが違う…ってことは、双方に見えていないものが必ずあるってことです。
戦争は、それを悲劇につなげてしまいました…
色々と考えさせられることの多い映画だったですかねえ。
関東大震災の、大地が吠えるような地震の描写と、
堀越二郎役のCVの不自然さと(w)、
松任谷由実の主題歌が耳に残りました。
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