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歳末大感謝祭(3)

まだつづく(笑)


……つか……
私、道ばたに落ちてる犬のうんち突きなんてしないよ……?
アラレちゃん……??

特技、おんなのいろけ?(←アラレちゃんの特技だよ!)

……確かに、100均の壺を10万で買え、と何度か言われた事はあるな………


え?

意味が分からない?
(^^;)

いいんですよ、意味なんてないんですから(笑)




拍手[2回]




追憶のエレベーター

(3)

 

 

 はっと顔を上げると、中央エレベーターのドアが、「チン」という音とともに眼前で開いたところだった。

 

「…………」

 

 吸い込まれるように乗り込むと、俺の後ろでドアが閉まる。

 またもや、気持ちの悪い落下の浮遊感。これ以上落下して一体どこへ行くんだろう、なんてことは、もう考えなかった。夢だから、これは。

 鈍く磨かれたエレベーター内部の壁に、自分の姿がぼんやりと映っている。  

 狐につままれたよう……とはこういう事なのかもしれない。

 

「……?」

 

 壁に映った己の姿に、ふと違和感を覚える。

 俺、……髪の毛こんなに短かったっけ。

 ふんわりさせていたはずのもみあげが、襟足が、丸っきり無くなっている。前髪も……こんなに短かったかな……

 

 しかも、額が出ている。ぱっつんというか、ザンバラだ。

 思わず眼鏡をかけ直そうとして、もう一度はっとした。

 

(メガネ、こんなデザインだったっけ?)

 

 銀縁は銀縁でも大きめレトロなレイバン風、しかも特注のハーフフレームだったはずが、今俺がかけているのは一体いつの流行なのか、細型の小さな……

 

 

「……チン」

 

 

 戸惑ううちに、エレベーターが再びノスタルジックな音とともに止まり、扉が開く。

「南部、遅かったな。調整に手間取ったのか?」

 第一声俺に放られたのは、妙に落ち着いた歯切れの良い声だった。

 

「え……っと」

「どうした?」

 声の主を見れば、背筋をきりっと伸ばして中央戦闘席の横に立つ、古代……

「あれ……」

「なんだ、何か問題でもあったのか」

「…………」

 

 

 いえ、なにも。

 

 

 さっきまで、行儀悪く座席にふんぞり返り、足をコンソールに放り出していたはずの戦闘班長が、小綺麗な優男に変身している。

 一方なんと、操縦席からは、音のない口笛が聞こえていた。

 太田が鼻クソをほじりながら、航海長に苦言を呈している。どういうわけか、ヤツの声は関西なまりだ。

 

「島さん、その曲。サビ知らないんですかあ?さっきからAパートばっかり繰り返してますよ」

「あ?良いじゃないか別に」と航海長。

「百合亜ちゃんにお昼のラジオでちゃんと流してもらわなきゃ。俺が聞いてて気持ち悪いっすよー」

「悪かったな〜。聞きたくなけりゃ耳塞いでろ」

 航海長と太田とのやり取りが、ヘンだ。いつもの緊張感の欠片もない。

 

 

 

 俺は目を瞬いた。 

 

 

 

 なんとなく洗練された優男と化した古代班長を横目で見ながら、自席に座り、コンソールパネルに目を落としてさらに仰天した。

 

(波動砲発射シーケンス?)

 

 古代さんしか撃てないはずの、波動砲制御システムパネルが、なぜ俺の席のコンソールに?

「ふぬっ………」

 思わずミョーな音を鼻から漏らした俺に、隣の相原が話しかけてきた。

「どうしたの?」

「いや、その……。俺って、波動砲撃てる事になってんだっけ?」

 

 余程変な事を聞いてしまったのか、相原は数秒間口をポカンと開けて俺を見つめ。ついで笑い出した。

 

「いやだなあ、君が砲雷長じゃないか」

「ほうらいちょう」

「どうしたんだよ?記憶喪失?」

 

 

 ほう、らい、ちょう……

 

 

 どうやら、怪奇現象は所属部署だの科目名をも変えてしまったようだ。いや、ここはすでに前のヤマトではない……のかもしれない。

 

 

 

 ……シュッ、とドアの開く音がして、艦橋に誰かがやって来た。

「交替します、お疲れさま、西条さん」

「あ、はい!お願いします」

 思わず振り向くと、レーダー席には「西条さん」と呼ばれた見知らぬ長い髪の女性隊員がいた。そして、そう言った声の主はなんと。

 

「森……さん」

 座席の肘掛けから転げ落ちそうな角度で後ろを振り向いた俺に、森雪が微笑んだ。

「あら。南部くんも非番明け?どうしたの、目をこすったりなんかして?」

「い、いや……」

 

 

 知らないうちに、眼鏡をはねのけて目をこすっていたようだ。

 俺の目は、すごい変化を遂げた森雪のボディに釘付けになっていた。

 まごうことなき、ボン・キュッ・ボン……!

 ありがとう、怪奇現象!

 

 

「も、森さん、あの」

「?」

 俺は「お怪我の方は」と訊きかけて黙った。

 森雪は不思議そうにしながら、俺に向かって愛想笑いをしてみせる。俺もお返しに、そのアイコンタクトに対してぎこちなく笑顔を返す。

 ……と、そこに割って入るように古代班長が声をかけて来た。

「では予定通り、これより波動砲発射訓練を行う!南部、指揮を取れ」

 

 

 なんと。

 

 

 命令を復唱しながら、俺は自席を勢いよく立った。もとより、波動砲発射シーケンスについては分かりすぎるほど分かっている。古代さんの担当だったはずの波動砲、俺はいつでもアレを撃ちたくて、うずうずしてたんだ。

「頑張って」

 森雪がにっこり笑ってウインクしてみせた。

 こころなしか、古代班長がしかめ面になったような気がする。

「任せとけって。俺は、大砲屋だ」

 

 キミがそう言ったようにね。

 

 

 そう小さくつぶやき、俺は中央戦闘席へ滑り込んだ――

 

 

 


 

(4)へ続く
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