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そして父になる

またもや、映画原作本。

あ、こないだ「藁の盾」も読んだんだけどね、書かなかったなwブログ。


ERIは原作本を読む場合は「かならず映画観る前」にしてる。
なぜかというと、
『原作の方がずっと面白いはず』だと信じてるからでありゅ(笑)。

映画はまず、尺の関係で原作全体を網羅出来る「はずがない」。
…ので、代替案が必ず取られている。
改変というより大概が改悪になってることが多い。

たまに例外もある…

映画は映画としてひとつの作品として成り立っているケースだ。
個人的には宮崎駿の「風邪の谷のナウシカ」なんかそれに当たると思う。
映画になったのは6冊あるうちの原作の、1巻までであるが、
あれはあれで完結した描き方をされていた。
あのくらいならば構わない(映画のあとで原作を読みたくなって、更にもう二段階も三段階も凝った内容になっていく。ああいうのだったら許せる)。

「藁の盾」は。
キーとなる登場人物を女性にしたのは何でだろう?と思ったので
映画を見てみるか、と考えたのだが結局観なかった。
原作コンセプトはアイデアとしてとても立ってるとは思うが、ヒュ―マンドラマとしての感動がそれほどなく、乾いた悲劇、みたいな展開に終始していたので「あの話を何度も」観たいと思えなかったのだ。

東野圭吾の「さまよう刃」も同じ理由で、
原作はハードカバーの時代に買って読んだが映画は観なかった。
重松清の「流星ワゴン」が映画化されたら、絶対観に行くつもりなんだが…(苦笑)。


どうも、私の観たいドラマと、大衆にウケそうなドラマとが、上手く合わないらしい。


なにより、原作本が600円〜900円で買えるのに対して(文庫の場合w)
映画はポイント使ってタダにならない限り、1000円以上する。
それで「なんだ、観て損した」と思うのならもったいないじゃないすか。

それに、本好きはみんなこう思ってるはずなのだが、
文章の方が映像よりもより多くの情報を持っている。
一監督の脳内で完成された映像を与えられるより、
自分の経験と感性とで読み解く文章の方が、
ずっと「キモチ良い・面白い」ことが多々あるからだ。

さて、それで、また「観に行こうかどうしようか」と悩んでいるのが
「そして父になる」だ。

原作本をうっかり読んでしまった。

ネタバレを、「つづき」に書いて悩もうと思う…やっぱり行こうか、ヤメようか?(笑)


あ。


最近一番熱心に読んだのは、こういうドラマ系の本じゃない。

まあ、私のお仕事関連のものでもあるのだが…
「犯罪は予測出来る」小宮信夫著/新潮新書
これは735円の文庫で出たばかりの新刊なのだが、
付箋、マーカー、色ペン、ですでに本が使い込んだ参考書みたいになっている…
この教授の本は全部持っていて、全部が私の教科書だ。
もう、悶絶するほど面白い。私にとっては(笑)。


さて、「つづき」には「そして父になる」のあれこれを。

拍手[0回]




「そして父になる」是枝裕和・佐野晶/宝島社

6歳まで育てた息子が、産院で取り違えられた赤の他人の子だった。
父親の方を語り手に展開する物語。

主人公の良多は、勝ち組になりたいという気概のある、
一生懸命セレブになろうとしてるまあ、そこそこ稼ぎの良いサラリーマン。
息子はお受験でおぼっちゃま小学校へ入れた。
妻はちょっと田舎の出で良多に比べると鈍臭くて卑屈。

もう一組の家族は、
モロ田舎もんで、儲からないハゲた電気屋の主人と
元ヤンキーの見た目はチャラいけど今は家庭的な美人妻。
息子はそこの長男で、小さい妹弟がいる。

この家族間で、実は6年前に長男の取り違えがあったと
産院から連絡があったことから、奇妙な交流が始まる。

普通は「時間をかけて、子どもを本来の親に返す=交換」が選択されるというが、
犬猫じゃあるまいし、というか「犬や猫でも無理」なのに、
なんとかできないかと両家族は道を模索し始める。

「そうすべき」と「そうしたいか否か」とで揺れ動く主人公〜〜、みたいな、
心の葛藤をイイ男(福山)で描くのが多分、映像化した場合の醍醐味ではありましょう。



んー。
まあ、題材とアイデアは良いとは思う。
面白い。興味を引かれた。

だけど、読んでいるうちに「上手く行きすぎちゃうん?」とちょっと白けて来た。


何より、主人公と対になる、貧乏で汚くてだらしなくて見た目も悪いもう片方の家族の父親が、話が進むにつれて「実はすっげえイイ父親」になってるんだよな。
母親の方も、見た目はヤンキー崩れでだらしないし家は汚いんだけど、料理がおいしい!とかストレートな愛情表現が好ましい人物で。

なにより、メンタル面で理想的な父母、として描かれてるのが結局小汚い方、なのだ。
まるでリトマス試験紙みたいに、描き方が両極端で、ちょっと有り得ないだろ……、と途中から冷めて来た。


ボロを必死で隠しながら、セレブを気取る主人公…、の設定はイイ。
だけど、対するダメそうな父親が、実は「イイ父親」だってとこに
ウソっぽい作為を感じちゃうのだ。
リアルはそうじゃないだろ、って声を大にして言いたい。

もしも、我が家に置き換えたら。
あんなに理想的にはことは進まない……
帰って来た実の我が子も、ダメな父親のせいで駄目になってしまいそうだ。
先方さんも、うちのダンナだったら任せたくはないだろう。
…というか、また別のドラマが生まれているのかな…??

ともかく、原作のストーリー自体が「ご都合主義」この上ない感じで、
各家庭の抱える病理もさして致命的なものではなく。
小説のプロットを際立たせるために敢えてその他の「普通の問題」は持ち込まないようにした、というような。
「取り違え」という、主幹となる問題だけを追求するために、相手の家族が母子家庭だとかDV夫だとか、そういう逆に良くある病理は排除した、という意図を感じてしまった。

だから逆に、これを映画化してカンヌにまで行ったという、
それはなぜなのか、その理由を知りたい、と思うのだ。

んー。

でもなあ、原作のまんまだったらどうしよう。


原作に忠実に描いてあること自体が珍しいのが映画だ。
改悪になってるのか、…でもカンヌだよ?良くなってるに決まってんじゃん。
……そこで葛藤。
観るべきか、観ざるべきか……
そこんとこで、今、悩んでるERIでありました。




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